ある区切りが訪れることについて、私個人としてはさほどの興味を払っていなかったのだが、さすがに十連休ともなると世間も暇なのかどうなのか、柄にもなく「新元号」とその時代の訪れまたは前時代の終焉を言祝ぐことになるので、ややもすると辟易するのだが、とにかく私がそのある区切りの前後において、ふと思い出したのはブレイディみかこの『アナキズム・イン・ザ・UK』(Pヴァイン、2013年)の「ロイヤル・ベビーとハックニー・ベビー」で紹介されたコラムニスト、ジュリー・バーチルの言葉だった。
「モナキスト[君主制主義者]であること、――つまり、ある少数の人間のグループが、生まれながらにして他の人びとより尊敬される資格を持っていると信じるということ――は、レイシストであることと同じくらい歪んでいて、異様だ」(前掲書、P.179)
私はこれをもって諸般の反応についてとやかく述べたいわけでもないし、断定的な判断を下したいわけではないのだが、一連の儀式が執り行われ、その様子が放送もされた光景が、どこか「歪んでいて、異様だ」というアナロジーを覚えたということについて、どことなく安心を覚えるのだった。
アナキズム・イン・ザ・UK――壊れた英国とパンク保育士奮闘記 (ele-king books)
- 作者: ブレイディみかこ
- 出版社/メーカー: Pヴァイン
- 発売日: 2013/10/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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