Outside

Something is better than nothing.

『テロ、ライブ』(2013年)

 キム・ビョンウの『テロ、ライブ』を観る。

 ハ・ジョンウ演じるユン・ヨンファは以前は国民的なアナウンサーだったが左遷され、ラジオ番組のニュースキャスターとして活動しているが、それぞれのニュースに対して視聴者からコメントをもらっている最中に不審な通話がある。最初は悪戯だと思ったが、ラジオ局の近くにあった麻浦大橋が犯人の予告通りに爆破されるため、これはテロ事件だと判断するに至る。状況を、自身のキャリア復活のために利用しようと思ったヨンファは、プロデューサーに独占生中継としてこの通話を利用することを考え、テレビ局への返り咲きを目論む。犯人はかつて工事で亡くなった人々への大統領の謝罪を求めており、これを巡って犯人との駆け引きが始まることになる。途中で元妻が破壊された橋でリポートするが、結局は橋の倒壊によって死亡する。また、犯人と思われていた人物は数年前に死亡しており、その息子が父を名乗っていたことが分かる。二度目の爆破の影響で、ラジオ局の入っていたビルにもたれかかるように他のビルが倒れてくるので、凄まじい状況に陥ることになるのだが、耳のイヤホンに爆弾が仕込まれていると思っているヨンファは状況から脱することができない。犯人がそれは偽物だと言われてようやくその場から脱出しようとするものの、犯人が現れて格闘することになる。大統領がテロとの勝利を高らかに謳う頃、犯人との格闘には勝利したものの煮え切らないこの状況に対して、ヨンファはもう一つの爆弾の起動を目論むのだった。

 基本的にはテンションが高い映像が続くことになるのだが、後半になるにつれ状況の設定から大きく外れていくことになる。物語としてこれでいいのかもしれないのだが、要するに善人が誰もいない状況が普通のものとして描かれていくので、これはまあそういう時代だよなあ、という納得をせざるを得ないのかもしれない。