Outside

Something is better than nothing.

『イベント・ホライゾン』(1997年)

 ポール・W・S・アンダーソンの『イベント・ホライゾン』を観る。

 宇宙開発が進み、人類が当然のように宇宙に進出している西暦2047年において、7年前、消息を絶ったイベント・ホライゾン号を、ローレンス・フィッシュバーン演じるミラー船長を筆頭としたルイス&クラーク号が探索する。サム・ニール演じるウィリアム・ウェア博士は、妻を自殺で亡くしてから幻覚や幻聴を見るようになっており、それに惑わされつつも、政府の指令を遂げるためにイベント・ホライゾン号を探索する任を遂行しようとする。発見したイベント・ホライゾン号の内部には生命反応が船内のあちこちにあった。クルーの生き残りは発見できないまま、不可解な状況が続き、クルーのひとりが精神をやられてしまう。どうやらイベント・ホライゾン号のコアが、空間移動の結果として意志を持つようになり、彼らを異次元世界へと招こうとしていることが分かってくる。ウェア博士はコアの意思に従うようになったが、残った面々は彼に抵抗する。必死に脱出を試みるのだった。

 クレジットに「Paul Anderson」と記載されていたこの時代が、ある意味での絶頂期なのかもしれないのだが、いや、それはそれとして非常に楽しめる作品だった。スペース・ホラーということで、途中から宇宙でやる必然性はなくなってね?と思う展開になってくるのだが、『2001年宇宙の旅』と『エイリアン』辺りをうまく融合させたような楽しみがあった。

 とはいえ、単純にそれらの類似品としてのみの楽しみがあるかと言えば、そうではなくて、美術がかなり凝っているのである。序盤の方からこの辺りのこだわりが垣間見ることができて、上述の通り話の展開は必ずしも宇宙空間である必要はないとは思ったのだが、今で言えばタブレットのようなものも出てくるし、発見したばかりのイベント・ホライゾン号の無重力空間に漂う散乱物の描写等も興味深い。

 そうしてみると、登場人物たちも合理的に動いているように見えてくるので、だんだんと目が離せなくなってくる。かくしてこの映画は、佳作に仕上がっているのだった。