Outside

Something is better than nothing.

引越しのこと

Möve

 二度目の緊急事態宣言が発出されたのが一月八日だったと思うが、それが発表されたのが前日で、我が家は微妙な時期に引越しを行ってしまうことについて非常に不安な心持ちでいた。そもそもいつなのか、あるいは発出されたとして引越しができるのか、と。

 結論から言えば引越会社はきっちり仕事をこなしてくれた。今のところ感染症に類する症状も出ていないので、どうやら感染はしなかったらしい(無症状ならば分からないのだが)。

 七年あまり住んでいた住居を出なければならないということは二年ほど前から分かっており、そのための家探しも行っていたのだが、まさか転居のタイミングがそういう時期になろうかとは想像だにしなかった。しかし、どのみち引越しをせざるを得ないことや、時期によって料金の上下がある料金体系からするとこの時期の引越しを逃すとかなり金額的にしんどいかもしれない、ということで行うこととした。

 今もってマクロな視点においてその判断が適切だったのかどうかということについては判断は保留せざるを得ないのだが、ミクロな観点で言えば結果論としては正しかったと思う。しかし、しかし、しかし、という保留がその正しさにはつくものの。

 不確かさとともに、あらゆる活動に感染リスクがつきまとい、感染したとしても無症状がありうるというときに、引越しという感染リスクが高いように思われる活動が、しかし人事異動や私のように出なければならない事情等がある際に、どう行動すべきなのか、その辺りについてよく分からない状態であり、こんな個別具体的な事象については政治が介入することはないのだろうが、衣食住の一つを占めるこの住むことにまつわるあれこれが、個々人の運用に基づいている、ということの重たさについて、今回はっきりと理解したような、そんな気持ちになるのだった。

 もちろんその後、住民票や個人番号カードの更新のために役所に行ったり、銀行口座の住所変更、ガスの開通確認等を行うことになったのだが、これもまた引越しにまつわるあれこれが個々人の運用に紐づいており、また基づいているということで、あれやこれやで結果的には私の行動は感染リスクを考えるとあまり適切ではなかったかもしれないが、社会生活上は欠くべからざる行動だった、ということになろうかと思う。