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三月の振り返り(Stairway 3)

Paper pond

 年度という時間的な区切りを設ける限りにおいて、三月という月は年度末に該当し、そのひと月というのは企業活動に従事する者であれば、おおよそ一年の中でもっとも忙しい月の一つに該当するかもしれないのだが、私もまた多分に漏れず、その繁忙の最中にあった。

 同時に日本中を騒がすことになり続けている森友問題の文書偽造問題が朝日新聞の(と記憶している)スクープ的な報道によって取り上げられ、この年度末はほとんどその話題に終始したような感があった。

www.asahi.com

 私も社内文書を稟議に回し、予算をもぎ取ってきたり契約をとりまとめたりすることは多いのだけれども、その中で決裁後の文書を書き換えるということはほとんど行われない。とりわけ金銭が絡むような状況であれば、なおのこと改ざんに際しては自分の首が飛びかねないレベルなので、何らかの形でミスがあれば訂正の稟議を立てなければならないし、あるいは決裁文書にその旨を記し、なおかつ所属組織の長に押印をもらわなければならない。

 私は仮にも日本を先進国だと思って長らくこの国に暮らしたり、その外に居住して眺めていたのだが、実際はそんなことはない、ある種のバナナ共和国状況に成り下がることをここ十数年は目論んでいるのだろうと思われる有様で、ポリティカル・コレクトネス一つをとっても、非常に微妙な問題を孕み続け、そのくせ解決には至らないことの方が多い。

 先月の振り返りを見ると、メディアに対する批判が良きにつけ悪しきにつけ多かった印象があるのだが、その反動が見事に今月には政権に対する批判へと結実している。だが、そもそもとしてこれはある種の世界的な潮流だと捉えることも可能だろう、と思ったのが、「情報の終焉」についての記事だった。

www.buzzfeed.com

 上記の記事中でアビブ・オバディアはAI等による情報技術に発展により、動画等に対して本物らしい映像を加工することができるようになり、そのことがきっかけで地政学的なリスクが増大する恐れについて触れている。「フェイクポルノ」という技術は、実在の人物(の写真等)とアダルトビデオを合成して、コラージュするというものだが、この「真実らしさ」を政治家にもたらしたとき、一体いかなる影響が出るのだろうか(そこには当然、遠い-近いという距離の問題が横たわるはずだ)。

 また、情報の真実らしさが危機に晒されると同時に、私たち個人の情報もまた、より身近になった情報技術により、たやすく漏洩してしまう。

www.nikkei.com

 Facebookの約五千万人に上る情報流出は、その他のテック企業の株価に影響を与えたが、株価のみならず米大統領選にも影響を与えた可能性もあると懸念されている。たしか私の記憶では、ある記事の中で主にサンフランシスコ等の技術者たちはモラルの問題を技術的に制限することで最終的な解決をもたらすことができる、と言っていたが、実際は何のことはない、スマートではない方法で私たちは自分たちを失い続けているような気がしてならない。

 また、当然技術的な最終解決というものは、たやすく国家の権限強化にも利用されているようで、中国では社会信用度を数値化し、この数値に基づいて鉄道や航空機の利用を制限するということも行われているそうだ。悪質なマナー違反を行った乗客に対して(ブラックリスト作成を目的とした処置?)、というところもあり、いったいどこまで対象になるのか、という点は未知数であるものの、新疆ウイグル自治区で行っていることを考えると、あまり気持ちのいいものではない。

news.yahoo.co.jp

 米国におけるトランプ政権の動きも気になるものであるけれども、本邦においてはひとまず国家としてのどうしようもない状況を是正しないことには何をするにしても名実ともに没落していくより他はなく、私はまだもう何十年かはこの国で暮らさざるを得ないのだろうから、頼む、と言いたい次第であった。

 

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