Outside

Something is better than nothing.

『エルカミーノ』(2019年)

 ヴィンス・ギリガンの『エルカミーノ』を観る。Netflix映画。

 アーロン・ポール演じるジェシー・ピンクマンは、ブライアン・クランストン演じるウォルター・ホワイトとのメス製造ビジネスが終結し、ホワイトが亡くなった後、ジェシー・プレモンス演じるトッドの車を盗んで、監禁先から逃げ出す。かつての友人に匿ってもらい、しかしその後、ジョナサン・バンクス演じるマイク・エルマントラウトと以前に語らったようにアラスカにでも逃げようかと掃除屋を探すことになるのだが、トッドに監禁されていたときのトラウマがフラッシュバックしていく。トッドの家で隠していた金を探し出すが、偽警官に邪魔され、また彼らと金を分かち合った後は、ロバート・フォスター演じる掃除屋エドに頼み込むものの、1800ドルだけ金が足りない。そこで、偽警官の元を訪れ、彼らと勝負することで金を得たピンクマンは、無事にアラスカに逃げることができるのだった。

 あらすじというあらすじはなんだか書きづらい印象にあるのは、ドラマのテンションと、観るこちらのテンションが何年もの年月があったためなのか地続きではなく、状況把握に戸惑った。とは言いつつも、だんだんと人間関係を思い出していくにつれて、ギリガンのいつものような巧みな演出によって引き込まれて、最後の工場の決闘シーンは正直言って、この時代にガンマンの撃ち合いみたいなものが現代劇の中で有効なものなのか、と驚きを持つことになった。

 しかしながら、全体としてあまりにドラマを前提としすぎていることや、何と言えばいいのだろう、あのフラッシュバックの数々はアーロン・ポールの演じたジェシー・ピンクマンだからこそ許されるものであって、この映画の射程通り、あくまでこの映画はピンクマンのもの、なのであろう。