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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (小学館文庫)

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (小学館文庫)

 

 フアン・アントニオ・バヨナの『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を観る。

 前作から3年後の2018年、パークが破綻した後も恐竜たちは住まい続けていたが、その島の火山が活性化し、恐竜の絶滅を巡って政治問題化していた。そこで、 ジェフ・ゴールドブラム演じるイアン・マルコムは発端となった「ジュラシック・パーク」事件の当事者であることからも、状況を自然に委ねるべきだと総括する。一方、ブライス・ダラス・ハワード演じるクレアは商業主義から脱し、恐竜の保護を訴える活動をしており、その中でロックウッド財団のレイフ・スポール演じるイーライ・ミルズから恐竜を保護するように依頼される。そこでラプトルの生育にも携わったクリス・プラット演じるオーウェンに(一度別れてしまったものの)依頼をし、 ダニエラ・ピネダ演じるジアやジャスティス・スミス演じるフランクリンらとともにイスラ・ヌブラル島に向かうのだった。活火山が噴火活動を繰り広げる中、保護対象の恐竜――そして自身が愛情を持って育てたラプトルのブルーに再会したオーウェンだったが、財団の派遣した傭兵テッド・レヴィン演じるケン・ウィートリーに邪魔されてしまう。そう、彼らは恐竜を保護したいのではなく、結局のところ商業的に利用したいだけだったのだ。噴火が活発になり、炎に包まれていくヌブラル島から命からがら逃げ出したオーウェン一行は、そのままロックウッド財団の屋敷に向かう。財団の設立者であるジェームズ・クロムウェル演じるベンジャミン・ロックウッドは高齢のため実務をミルズに任せていたが、実はこの動きはミルズの独断だった。イザベラ・サーモン演じるロックウッドの孫娘メイジーはミルズの策略をロックウッドに伝えるが、ミルズは逆にロックウッドを殺害してしまう。次々に恐竜に運びこまれていく屋敷に、怪しげな人々がオークションのためにやってくる。B・D・ウォン演じるヘンリー・ウー博士はインドミナス・レックスに代わる新たな「兵器」を作り出し、「インドラプトル」というラプトルをベースにした殺人兵器を作っていた。トビー・ジョーンズ演じるグンナー・エヴァーソルは屋敷の地下でオークションを開催する。オーウェンとクレアは彼らの動きを阻止するために動き出すが、その中でインドラプトルが檻から出てしまう。メイジーに状況を聞いた彼らは、ブルーの協力も得て、なんとかインドラプトルを撃退することができる。だが、火災が起きた屋敷の中で恐竜たちのその後を彼らは考えるが、実はロックウッドの娘のクローンであることが判明したメイジーが彼らを解き放ち、恐竜たちは町に逃げていく。イアン・マルコムは状況の変化に対し、皮肉めいた口調で答えるのだった。ジェラシック・ワールドへようこそ、と。

 かなりの内容が詰め込まれた映画ではあるのだが、観ると滞りなく観ることができるので、かなり脚本に力を入れているような気がする。前作が兄弟愛を一つの軸として活用していたが、今回はややその軸はばらけていた印象である。とはいうものの、この映画はかなり面白い。

 物語はイアン・マルコムによる最初と最後のパースペクティブを与えられることで、この一連の映画シリーズの総括としているのだろうと思われる。個人的には久々に観た彼の白髪に、驚いた。

 前半の島の描写と後半の屋敷の描写が対照をなしているが、前半部分の噴火活動中の島における迫力ある映像はなかなかお目にかかれないものである。と、同時にインドラプトルが狭い屋敷の廊下を走る様子は、恐竜映画というよりはもはやホラーである。

 ということで、この映画は(至って真っ当な)「ホラー映画」であるのだった。月に吠える恐竜なんかが出てくる時点で、恐竜ものとしては観られないような気がするのだった。

 全体としてテンションが高い映像が続き、インドラプトルの恐怖感はひとしおである。かなりの良作であると私は思う。