Outside

Something is better than nothing.

不滅の身体

 

Film Title: Immortals

 ふとした瞬間に、自分の抱える半永続的な病と、同時に今ここにある肉体の不滅という意味での永遠を思うことがある。それは眠れない夜、世界にひとり取り残されてしまったような感傷を覚えたときにやってくる。

 肉体が傷を負ったとき、痛覚という観点から自分自身が強くそこにあるのだ、という感じはあるにしても、それは感傷を覚える余裕のない、一種の強烈な意識がそこにあるのだが、ゆったりとたゆたう夜には、ただとりとめなさだけがそこにある。

 私自身の身体が今ここにあることと、その身体の感覚が持続していくかもしれないだろうことと、しかしある瞬間においてそれは損なわれてしまい、取り返しのつかないところに行き着いてしまうことは、同時に私の肉体に存在している。

 数多の可能性が身体の中を通っていき、あり得べき規定事項とありえたかもしれない未来が横たわる。だから病を抱えていて、たった一回、通院をサボったりしたところで、その未来は何ら影響しないかもしれないし、いやむしろ決定的に損なわれてしまうのかもしれない。そもそも、そこに係る影響というものは当人の思っているほど肉体に影響を及ぼさないのかもしれない。

 分岐していくのだが、それはまだその肉体が不滅を保っているからで、しかしその不滅もよく目を凝らしてみると、いくつもの綻びをすでに湛えている。たぶん、見て見ぬふりがまだできるのだろう。あるいは、朽ちてもなお再生することができるからか。

 鈍い痛みが身体の内部に潜んでいる。その痛みは、本来感じられていたはずの肉体の不滅を大きく損なうかもしれないものだ。いったい原因は何なのか。自分でも誰にも分からぬまま、脅かすものを抱え続ける。

 

 

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