Outside

Something is better than nothing.

『ザ・テキサス・レンジャーズ』(2019年)

 ジョン・リー・ハンコックの『ザ・テキサス・レンジャーズ』を観る。Netflix映画。

 刑務場から囚人たちが脱獄する。近くに一台のフォードが停められているが、そこには男女のカップルが乗っている。女がマシンガンを刑務官らに向かって乱射し、囚人たちは車に乗り込んで逃げ果せる。1934年のテキサスで、ボニーとクライドという犯罪者が世間を賑わせていた。連邦捜査官はまだ機能しておらず、州境を越えれば、もはや警察は誰も追いかけてこない。キャシー・ベイツ演じるテキサス州知事のファガーソンは事態を収束させようとするが、ジョン・キャロル・リンチ演じる刑務所長リー・シモンズは、ある男たちを推薦する。ケビン・コスナー演じるフランク・ハマーはかつてテキサス・レンジャーとして勇名を馳せたが、今では妻とひっそり暮らしていた。そこにリーがやってくる。ボニーとクライドに対処してくれ、と。初めは断るフランクだったが、彼らによって千発もの弾丸を撃ち込まれて死んだ警察官のニュースを聞き及んだとき、彼の心に火がついた。彼は準備を整え、かつての相棒であるウディ・ハレルソン演じるメイニー・ガルトの元に訪れる。メイニーは困窮しており、今ではすっかり落ちぶれてしまっていた。フランクは最初、その場を立ち去るが、立ち寄った町で、メイニーが前に現れる。彼の勘はまだ完全に衰えていなかった。かくして彼らはテキサス・レンジャー、もとい、それを名乗れないためにハイウェイマンとしてボニーとクライドを追いかける。警察もFBIも、完全に彼らの足取りを終えていない中、二人は地道に捜査を続けて彼らを追っていく。しかし追跡も虚しく、彼らは犯行を重ね、また一度はカーチェイスになったが、砂埃で巻かれてしまう。だが、彼らの仲間の父親と接見した二人は、彼らを罠に嵌めて、追い詰めるのだった。

 いわゆるボニーとクライド物になるのだろうが、なんだか久しぶりにケビン・コスナーを観たような気がして、題材というよりは彼を観たような気がしていた。基本的に誠実な映画で、クオリティーは充分に高いのだが、ハードボイルドによりすぎたためなのか、ややダレる瞬間がある。とはいえ、これは本質的なものではない。

 これは執念の映画であり、その執念というのは地味なものなのだ。だから老獪に彼らを追い詰めていく様は、地味であるし、地道でもある。そしてフォードの速さに追いつけず、土煙に巻かれたりもする。彼らが歓声をもって迎えられるとしたら、彼らはただただ静かに追いかけるしかない。

 最後、彼らを殺すシーンの迫力はひとしおで、ここまでの地道さの果てにここに行き着き、最後には実際の写真まで挿入されるというのは、監督の自信なのだろうと思う。いい映画を観た。