Outside

Something is better than nothing.

言語化の壁

Shakespeare's words

 

 あらゆるものを言語化することはまず不可能だとは思うのだけれども、他者への伝達を目的とする言語使用において、言語化不可能の対象は存在しないものとして扱われる、ということになるのだろうか。

 言語化できない/したくないものというものの奥に、何か非常に暗いものが隠れている気がする。それはおそらく強制すればある程度のところまでは侵入することのできる傷だ。けれどもその傷を抉るようにすることによって、流れ出る血を果たしてどうするのだろうか、とも思うのだ。

 そうまでして行うコミュニケーションに、果たして意味があるのだろうか、と。だから、ずっとずっと奥底にあるその不可解なかたまりを前にして、私は立ち止まらずにはいられないし、おそらくそれは表面的な笑顔や健康さとはまた別の、だいたいの人間が程度の差こそあれ持つ、暗さというものなのではないか、と思うのだった。