Outside

Something is better than nothing.

『パニック・ルーム』(2002年)

 デヴィッド・フィンチャーの『パニック・ルーム』を観る。視聴は二回目。

 ジョディー・フォスター演じるメグ・アルトマンは、他の女に乗り換えやがった夫と離婚し、クリステン・スチュワート演じるサラとともに新居に移り住む。そこにはパニック・ルームと呼ばれる緊急避難用の隠し部屋があった。引っ越したその夜、ふたりが眠る家の外で怪しげな男たちが蠢いている。フォレスト・ウィテカー演じるバーナムとジャレッド・レト演じるジュニアが家の中に入り、その後にドワイト・ヨアカム演じるラウールが忍び込む。彼らは最近亡くなった彼女たちが眠るその家の元家主で大富豪の遺産を狙って訪れていた。パニック・ルームの中にその財宝が隠されており、彼らはその家が無人と思って忍び込んだのだった。しかし家の中に人がいることを知って彼らは狼狽する。バーナムは帰ろうとするが、ジュニアに説得されて留まる。その後、彼らの侵入を知ったメグはサラを連れてパニック・ルームに逃げ込むのだが、目的の物がその部屋の中にある以上、彼らも逃げるわけにはいかない。ここに至って状況は膠着し、この膠着を解くためにジュニアとラウールは短絡的に感情に基づく暴れるばかりで、バーナムが仕方なく善後策を講じることになるのだが、しかし結果的に感情的な二人が邪魔をしてうまくいかない。そうこうするうちにジュニアは逃げることにし、さらにはその大富豪の息子か何かであるため、黙っていても遺産が転がってくるということを暴露し、さらには元々告げていた金額よりもかなり大きな金額が隠されていることを暴露して、ラウールに殺されてしまう。バーナムは銃を持ち出したラウールに半ば脅されつつも、パニック・ルームの中に入ろうと試みる。が、そこで糖尿病患者だったサラの発作が始まり、注射を打つ必要が生じたメグはサラのために部屋を抜け出して注射器を探しに行った隙を狙って、彼らはパニック・ルームに入り込んでしまう。彼らは目的の物を探し出し、またサラはバーナムの好意により注射を打たれて復帰し、メグは彼らを闇討ちするために家の中の監視カメラと灯りを壊して回る。彼らが目的の物を見つけ出して去ろうとするときに、運悪く犠牲になっていた別れた夫を有効活用して彼らを撃退しようするものの、あと一歩のところでラウールの凶暴性にやられかけてしまう。だがバーナムが彼を撃退し、逃げようと思ったところで警察がやってきて捕まる。

 話としては強盗三人組の(バーナムは別としてだけれども)間抜けっぷりを前提にしなければ成立しない作品であり、作品とは関わりのないところで言えば、フィンチャー映画の中ではかなり異色な方の作品になっている。長らくこれを再視聴することがなかったのは、その特異性に依るだろう。

 とはいえ、久しぶりに観てみると、CGの使い方が『ファイトクラブ』っぽいところもあるし、あとカメラワークが面白かったりと見所は充分にあった。ジョディー・フォスターは綺麗。

 どうでもいい話だけど、最初に観たときに同時期に観た『ザ・インタープリター』を久しぶりに観たくなった(元々『パニック・ルーム』の主演を予定していたニコール・キッドマンが主演の映画)。全然関係ないんだけど。

『ファミリービジネス』(1989年)

ファミリービジネス [DVD]

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 シドニー・ルメットの『ファミリービジネス』を観る。

 マシュー・ブロデリック演じるアダム・マクマレンは、ダスティン・ホフマン演じる父であるヴィトーよりも、ショーン・コネリー演じるジェシーにより父性を感じている。実はこのマクマレン一族は泥棒稼業で生計を立てていたこともあり、祖父ジェシーはゆえにその犯罪歴を自慢しており、老年になってもその自慢を忘れない。それを苦々しく思っているのがアダムの父であるヴィトーになるのだが、彼も彼でかつてはジェシーに協力していた過去があり、アダムが生まれてから足を洗い、精肉会社を経営し、スリルからは足を洗っていた。しかしながら、血がそうさせるのか、あるいはジェシーの魅力なのか、アダムは真面目一辺倒に生きる、一種のエリートとしての人生に嫌気が差し、DNAを研究する企業から研究成果を盗み出すことで多額の金を得る計画をジェシーに持ちかける。計画には三人が必要ということでヴィトーも加わることになり(ヴィトーの思惑はアダムに殺人等を犯させないために)、親子三人で盗みを行うことになる。しかし計画途中でアダムがドジを踏み、警察に捕まってしまってからは、ジェシーとヴィトーの間で、この計画を巡る思惑のズレが生じていき、ヴィトーは自分の父ジェシーを警察に売ることで、息子アダムを助けることに決める。だが、アダムはその選択に反発し、アダムとヴィトーの仲は険悪になってしまう。ジェシージェシーで、アダムの持ち込んだ計画に裏があることを見抜いていた。DNA研究がうまく立ちゆかないことから、世間知らずのアダムに偽の情報を掴ませ、研究成果が盗み出されてしまったことにして研究が遅れていることを隠蔽しようとした研究者の偽情報にアダムは踊らされていたのだ。しかしジェシーは逮捕され、親子三人とも裁判を受けた結果として、ジェシーの責任がもっとも重いとの判決を下され、ジェシーは十五年の懲役を受けてしまう。そしてそれは老年に差しかかったジェシーにとって、終身刑に等しいものだった。収監されたジェシーの元にアダムは足繁く通うのだが、ジェシーはやがて衰えて亡くなってしまう。その葬式の席で、アダムとヴィトーは長らく続いていた対立関係を終え、親子として再出発するのだった。

 非常に安定的な演出とカメラワーク、何度か繰り返される反復、そして何よりもショーン・コネリーの魅力がふんだんに詰まった結果として、一見の価値がある佳作に仕上がっている。割と地味めな話だとは思うのだが、それでも安定して最後まで観ていられるのはひとえに監督の力量がなせる技だろう。意外と扱っている題材の裏側が面白く、DNAが出てきたところは意図されているものとは別に、ちょっとおかしかった。おお、そういう話題で来るのね、と。

 こういう映画は文句なしに素晴らしいと思うのだが、なによりショーン・コネリーの存在感が異様で、この異様さは何なのだろうか、と思う。この俳優の存在については、もちろん007シリーズで知っているのだけれども、しかし私たちの世代からしてみればマイケル・ベイの『ザ・ロック』(1996年)が一番突出して有名なのかもしれない、と思ったりもするのだが、そういった存在感とはまったく違う種類の、なんというのだろうか、野性味を感じさせもする、今の俳優で言えば若い頃のブラッド・ピットに近しいものというべきなのか、そういう種類の魅力なのだろうか。いみじくも作中でアダムが指摘していたように、「あんたは粋すぎる」という台詞が的を射ている。だから、ブラッド・ピットとも違うことになるのだが(彼は明確に野生児だ)、とにかくこれは俳優の勝利だろうとも思うのだ。

 そういった意味で、ダスティン・ホフマンは決して悪くはなかったし、マシュー・ブロデリックも同様ではあるのだが、名優たるショーン・コネリーには及ぶべからずというのがこの作品の肝であり、もちろん作品自体もそう作られている。

 あとジェシーの台詞の中でちょっと興味深かったのは、(記憶違いがあるかもしれないのだが)「合法的な盗みなんて倫理に悖る」といったもので、これはアダムのガールフレンドの不動産売買に際して言っていた台詞だが、この矜恃は私たちの社会が失ってしまった感覚の一つだろうと推察する。

eufy RoboVac 11を買う

経緯

 eufy RoboVac 11を購入した。いわゆるロボット掃除機と呼ばれるジャンルになるのだが、モバイルバッテリーやらキーボードやらでよく購入対象の一つとなるAnker製のものを購入することに決めた。

 最初はルンバを購入しようと思っており、その中で最新エントリー機であるルンバ690を購入しようかと思っていた。Wi-Fiを使って、アプリで掃除の指示を出せるのは大層便利だろうと考えたからである。

 しかし高い。大体5万円近くする。いくらエントリーモデルとはいえ、5万円近くのお金をほいほいと出すわけにもいかず、そして初めてのロボット掃除機購入でもあったため、もっと安いものを探していた。

iRobot ロボット掃除機 ルンバ690 R690060

iRobot ロボット掃除機 ルンバ690 R690060

 

 調べていくうちに分かったこととしてはiRobot(ルンバ)系列はけっこう高いということと、他の会社のものも割と高め、であるということだった。かといって格安モデルはすぐに破損しそうだし、メーカーについてもあまり知らなかったし、ということで何を買おうか迷っていた。いっそのことボーナスでルンバ690にしようかと思っていたくらいで、けれどもそうなると12月まで待たなければならなくなる。

 いろいろと情報収集する中で、以下の記事が目に留まった。

the360.life

 いろんな製品があり、それぞれに一長一短がある以上、何らかの選択をしなければならない。そういった中でこの記事はかなり判断の助けになってくれた。で、結果として恐る恐るではあるものの、eufy RoboVac 11を購入することとなったのである。

結果

 使ってみて割と驚いたのが、清掃能力が想像以上だった、ということになる。

 我が家は共働きで、だいたい休みの日は疲れ切って家事労働をあまりしたくない、というタイプなのだが、床掃除についてはなかなか手が回らないことが多いズボラな家庭、と相成る。で、その代わりに労働しておいて欲しいという目論見でロボット掃除機の導入を決めたのだが、一通り作動し終えた後の床の具合が絶妙で、はっきり言えば、自分で掃除したときよりもいいのであった。

 これは新鮮な驚きだった。正直言ってお掃除ロボットの清掃レベルなんてたかが知れている、とたかを括っていたのである。

 まあ、無論のこと時間はかかるにはかかるし、いろんなところに引っかかりはするのだけれども、平日、それぞれが不在の間に代わりに掃除をしておいてくれると考えたら、必要な時間についてはまったく問題にならず、同時に動作中の騒音についても一切気にならない。

 段差(2センチほど)の昇降がやや気になるところだが、たまに引っかかったりはするものの、どうにかパワーでこなせている印象があった。ゴミ捨てについても、後ろをパカッと開いて捨てるだけで事足りるため、面倒な要素はない。おそらく今後はメンテナンスに時間を費やす必要は出るのだろうが、これはまた別の話、ではある。

余談

 ロボット掃除機の導入と前後して、以前に購入した赤い掃除機が突如として使えなくなる、という状態に陥った。これはある種の運命に違いない。バッテリーがいかれてしまったのか、まったく動かなくなってしまったのである。やれやれ、2年ちょっとしか使っていないのに。とはいえ、ロボット掃除機についても不具合の報告もされていることだし、まだまだ安心できそうにない。

 

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