Outside

Something is better than nothing.

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)

 タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観る。

 レオナルド・ディカプリオ演じるリック・ダルトンは落ち目のテレビ俳優スターで映画進出を目論むが、なかなかうまくいかない日々を送っている。その親友として、ブラッド・ピット演じるクリフ・ブースがおり、彼はリックのスタントマンとして仕事する傍らで送り迎えからアンテナ修理までなんでも行う。マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートは若手女優で、映画監督のロマン・ポランスキーの妻として前途洋々である。

 説明が難しいのであらすじを丹念に書き起こすのは止めるのだが、基本的にはリックとクリフの日々を丁寧に描いていき、たまに思い出したようにシャロンのことを描くことになる。シャロンは一種の聖性を与えられている印象を受け、リックとクリフはそれと気づかないにしてもパラレルな生活を送る。一方は映画出演の役柄として西部劇の中で少女と出会い、怪演をする。他方はヒッピーコミューンに参画し、タイヤを傷つけられる。

 最終的にマンソン狂信者たちが彼らの邸宅を襲撃することになり、それを撃退するというとんでもない事態が訪れることになるのだが、不穏な最後の割に語られる物語はひたすら落ちぶれていく、吹き溜まりに取り残されつつある二人の友情とその終わりで、その様が観ていて奇妙に美しく感じられる。

 映画は二人の友情の停滞から終わりへとゆっくりと描かれていくのだが、ディカプリオとブラッド・ピットという二人の役者の「怪演」を見せられて、なんというかお腹いっぱいといったところである。

 地味にアル・パチーノがマーヴィン・シュワーズという映画プロデューサーとして登場し、彼らをイタリアへと誘うことになる。