Outside

Something is better than nothing.

『ピンポン THE ANIMATION』(2014年)

 湯浅政明の『ピンポン THE ANIMATION』を観る。

 片瀬高校の星野裕(ペコ)と月本誠(スマイル)は卓球に勤しんでいたのだが、孔文革(チャイナ)と出会うことで、星野は完敗、月本は才能を強く揺さぶられるので、ペコは卓球から距離を取る。月本は対照的に顧問の小泉に目をつけられて強化メニューを組まされる次第なのだが、同時に卓球を至上の価値とする海王学園高校の風間竜一(ドラゴン)にも目をつけられスカウトされるようになる。ペコはかつて自分が勝ち誇っていた海王学園高校の佐久間(アクマ)と対戦したときに完敗し、佐久間は月本に完敗するに至って、星野は月本に負けているという自覚を得たところで本当に卓球から足を洗うのだが、しかし月本は以前よりヒーローを求めており、そのヒーローたるペコの再来を待ち望んでいることにオババからの諫言もあり気づいたペコはふたたぶ卓球に向き合い、スマイルを助けるために奮闘するのだった。

 実は、案外感心しない作品だった。曽利文彦の『ピンポン』(2002年)はたぶんリアルタイムで観て、先日も観返したのだが、あの窪塚洋介の演じた「ペコ」を超えることは、なかなか難しいのではないか、というのが私の感想である。実写版にはさまざまな欠点があるような気もするのだが、それでも窪塚の、当時絶頂だったと思われるキャリアにおける、これまた絶頂の演技を見せられているこちらとしてみては、いくら湯浅政明のアニメーションだからといっても拮抗するのは難しいのではないか、と。

 だからこれはむしろ世代的なものであるのだ、というところがせいぜいの弥縫策なのだが、オープニングの一番最初、サーブを打つ瞬間のあの動きだけが唯一、窪塚に対抗できるところなのではないかと思う。