Outside

Something is better than nothing.

『ウォー・マシーン』(2017年)

 デヴィッド・ミショッドの『ウォー・マシーン』を観る。Netflix映画。

 ブラッド・ピット演じるグレン・マクマーン大将はアフガニスタン情勢に司令官として着任し、各地を視察、より効率的な方法への変更等、さまざまな分析や実践を行い、独自の見解として四万人の派兵を依頼するも、オバマ大統領は三万人しか派兵しないということから、ヨーロッパ各地に赴き、派兵を依頼して周り、その乱痴気騒ぎがメディアにすっぱ抜かれて失墜し、また新たな、一切反省のない首をすげ替えただけの新たな有能な司令官が着任する。

 状況としてはややこしいわけで、割と一筋縄にいかない題材だろうと思いつつも、コメディというよりは冷静な視点(すっぱ抜いた記者の視点)から事態を眺めることで、一つのパースペクティブを得ている、と言えるかもしれないのだが、例えばジェレミー・レナーの好演が目立ったキャスリン・ビグローの『ハート・ロッカー』とは異なり、戦争というものへの男性性の発露というよりは、名誉欲その他の社会的欲求に基づいているような印象を受ける。

 もちろんこれは兵士の視座で描かれているかどうかという違いもあるのだし、そもそもとしてその熱狂については記者の視座があるために、余計に相対化されてしまって、かなり見えづらくなっている。

 グレン・マクマーン大将をブラッド・ピットは頑張って演じていたが、どうにもブラッド・ピットにこのような役回りは似合わないのではないか、と、傑作だった『フューリー』を思い返しながら、首を傾げた次第である。