Outside

Something is better than nothing.

『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』(2017年)

  ジョージ・ミラーの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(以下、マッドマックス)を観る。ブラック&クロームエディションということで、いわゆるモノクロ版。

  かねてより監督自身から、モノクロ版により『マッドマックス』は抽象度が高くなるという言があり、ブルーレイやDVD発売時にはモノクロ版がつくという噂があったものの、日本版ではついておらず、私は泣く泣くブルーレイを購入したのだが、今年になってブラック&クロームエディションとして劇場公開されるということで、早速観に行った次第である。

 で、感想として大傑作

 もともと『マッドマックス』自体が傑作ということもあるのだが、個人的な視聴経験として言えば、もはやカラー版とは別物に仕上がっている印象である。ジョージ・ミラーが述べていたように、たしかにシーンによってはモノクロによる分かりづらさはあるにしても、抽象度の上がった画面の中で展開される映像の数々は、『マッドマックス』の素晴らしさを余すところなく伝えている。

 フュリオサを演じたシャーリーズ・セロンの美しさがまず際立っているし、余計な色がないことによって、イモータン・ジョーなどのキャラクターの凄みや、何よりも『マッドマックス』の中で印象的な「」と「」の美しさが極まっている。またウォーボーイズの存在はモノクロにすることによってより異様さが出ているし、後半から登場する謎の婆集団も、その皺の数々が実に面白い。

 ある種の神話性、神話的な造形性すら、モノクロ版にすることで獲得したのではないか、とさえ思う。

 もともと「凄いものを観た」という映画感想を抱いていただけあって、モノクロ版視聴への期待感は高まっていたのだが、それを遙かに上回る映画視聴の体験だったように思う。

 必見