Outside

Something is better than nothing.

『パーフェクト・ルーム』(2014年)

 エリク・ヴァン・ローイの『パーフェクト・ルーム』を観る。

 カール・アーバン演じるビンセントは建築家で、プレイボーイであるのだが、親友であるジェームズ・マースデン演じる精神科医のクリス、ウェントワース・ミラー演じる糖尿病の妻を抱えるルーク、エリック・ストーンストリート演じる猥談好きなマーティの4人と、クリスの異父弟のマディアス・スーナールツ演じるフィリップとともに、「ロフト」という秘密裏に使用できる部屋を共有することに決める。彼らはその中で妻子には言えない不倫を楽しもうとしている。しかしある日、ルークがロフトを訪れると、見知らぬ女性が死んでいることに気づく。秘密が公になってしまってはまずいと全員が集められ、それぞれのアリバイや今後の対応について検討し合う。だが、そこには恐るべき作為が忍び込んでいた。ビンセントはややセックス中毒の嫌いがある人物で、ほとんど手当たり次第に女性たちと逢瀬を楽しんでいる。そこにはクリスが道ならぬ恋に入れあげるレイチェル・テイラー演じるアンも含まれており、彼女を彼にけしかけたのもビンセントだった。また、フィリップが溺愛する妹もビンセントによって抱かれ、関係が悪化したときに説得を依頼されたマーティの妻もビンセントは抱いている。つまるところ、ビンセントは彼らにとって許しがたい存在だったのだ。そしてそこで死を迎えたイザベル・ルーカス演じるサラもまた、ビンセントによって自殺した女性だった。そこで彼らは共謀してビンセントを嵌めるべくサラの自殺はビンセントとともに行われたものであったように偽装工作する。しかしルークは何かを隠していた。そう、彼もまたサラに夢中になっており、彼女を殺害したのは彼だったのである。すべてが終わった後、ロフトに戻ったクリスは遺書の行方からその事実に思い至り、ルークを追求する。激昂したルークはクリスを殺害しようと目論むが、返り討ちに遭ってしまい、最後には自死を選ぶのだった。

 登場人物に共感を持てない上に、登場人物たちがことごとく滅茶苦茶な行動をすることによって、おそらく当初からしてみれば大したものでなかったはずの出来事を無意味に大きくし、同時に無意味に人死にが増えてしまうように取り計らっている。

 もちろん彼らの「秘密」は、ばれてしまえば社会的信用を著しく毀損してしまうような代物ではあるのだが、ほとんど自己中心的な快楽に耽っていた以上、最終的に人が死んでしまう事態にまで陥ってしまった彼らに同情の余地はないだろう。

 最終的にクリスはアンと再会し、恋を育んでいきそうな気配を匂わせてはいるものの、これをもってハッピーエンドとするわけにもいかなそうな気がする。