Outside

Something is better than nothing.

『グリーン・インフェルノ』(2013年)

 イーライ・ロスの『グリーン・インフェルノ』を観る。

 ロレンツァ・イッツォ演じるジャスティンは、例によって自堕落で偽善的な大学生活を送っていたのだが、ある朝に行われていたハンガーストライキを見たのをきっかけに積極行動主義に興味を持つようになり、そのままなし崩し的に油田を開拓するためにジャングルの原住民を排除しようとするグループの仲間に入るものの、彼女の父親国連に勤めていたため、それを元に人質的な使われ方をしてしまって怒り狂っていたのだが、帰り道に飛行機が墜落してしまい、助けようとしていたはずの原住民たちが食人族だったため、仲間が続々とやられていってしまう。しかし、例によって生き残るのだった。

 ほとんど創意のない映像といえばそうで、もちろんジャングルの緑の中に現れる異様な(と言いつつさほど異様でもない)赤い部族と血の色がマッチングしていき、その中で処女性を崇められるジャスティンは白く塗りたくられていくといった具合に、政治的には相当正しくない映画ではあるものの、政治的に正しくない割に極悪非道かと言えば、檻の中で仲間が死んで行く中、自慰をしているくらいがせいぜいクレイジーなもので、つまりどういうことかと言えば手ぬるいのである。

 もちろん残酷さ、ゴア描写の面白みはあるのだが、残念ながらゾンビにお株を奪われた嫌いがある。心理的な残酷さというのは、すでにサスペンスが代替しているような気もするし、どうしようもないポストコロニアリズムをふんだんに抱えた映画というのもまた腐るほどあるのだし、じゃあここで描きたかった人間の偽善やどうしようもなさって一体、と思わなくもない。せいぜい大学生が抱く社会の偽善、程度なのか。

 雑に言えば観客を舐めているのである。