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『FANCY』公開

FANCY

FANCY

 

公開

 短編集『FANCY』を9月1日に公開いたします!

 上記リンク先から予約が可能です!

収録作品

水の音
のっぺらぼう
劣化
川沿いの喧嘩
コーヒーの味
夢の女
楽天家の憂鬱
ポテトの狂乱
タイトロープ

コメント

 けっこう久しぶりに新作を公開することになりますが、本短編集は来たるべき長編作品(今年か来年初頭に公開予定)の前段階、のような形で、ちょっと肩の力を抜いたような、そういう短編集になります。

 全体を通してのテーマはタイトル通り「FANCY」で、「恋・愛・性」のこの三つについて、だいたい書いています。おおむね書いた順番通りに配置していまして、最後の「タイトロープ」についてはこの短編集のために書いたものになります。

 物の本によると、「I love you.」と言うよりも「I fancy you.」みたいな形で使う方が、相手に(性的な意味も込めた)好意を伝えるらしい、ということを知って、このタイトルを使おうかと思いました。

 さて、以下は、各作品についてのコメント。

水の音

 自分の「書き方」みたいなものがあるとして、この作品はそういうものとは少し離れたところにある書き方で製作した短編。思い入れはあるにはあったのだが、収まりどころがなくて、この短編集の中では一番古く書いた作品になるのだが、ようやく収まりどころを見つけた、といった感じ。

のっぺらぼう

 かなり気に入っている掌編で、昔に「Days gone by」を書いて発表したときに一緒につけた覚えがある。これも収まりどころがなかったのだが、ここに収まった。

劣化

 何か行き詰まりを感じたときに、ふと浮かんだタイトルが「劣化」というもので、当時はなぜか“オワコン”という言葉をよく使いもし、使われもしていたのだが、そういう言葉に対するもやもやがまずあり、実際どうしてこういう形になったのかは分からないのだが、こういう形に結実した。不思議。

川沿いの喧嘩

 カップルというものはさまざまな形で喧嘩をすることになるのだが、結婚を前にして、さまざまな回想、記憶のかけらがたくさん訪れるといった、ちょっとハッピーな形で喧嘩を描きたかったので、こういう形になった。

コーヒーの味

 夫婦喧嘩は犬も食わないといった言葉があるのだが、まあカップルについても同様だよね、というところを描いた感じ。

夢の女

 われわれの“夢”の中に現れるのはいつも決まって“女”なのだ、ということを書いた後に思い至るところがまるで駄目なところなのだが、つまりこれは“男”というものの性なのだ、ということを言いたくもある。つまり「夢の女」というものは、どこにでも現れうるものであるのだし、男たちにとって都合のいい幻想を投影する対象でもあるのだ。

楽天家の憂鬱

 もちろん『ブレイキング・バッド』が下敷きになければこういう作品は描かなかったのだけれども、自分としてはなぜこういう形で現れたのか、「夢の女」の後に位置する作品としては、ある種の“夢”の続きのようなもので、それは“女”とは対称的な形で現れた“男だけの世界”ということになるのか。

ポテトの狂乱

 発表したときはもう少しタイトルが長かったので、短くした。割と気に入っている作品で、“男”というものはいつだって“夢の女”を求めているのだ、としたら、その“夢の女”が何らかの形で現前してしまった場合、“わたしたち”はどうすればいいのか、というところがあるのだろうと思う。“髪”そして“カツラ”あるいは“ウィッグ”を巡るファンシーな小説。

タイトロープ

 個人的な願望だったのだが、一度でいいから、いわゆる“NGワード”的なものをひたすら連呼する小説を書きたいと思っていて、しかし小説として書く以上は、いちおうはそれっぽく書きたい。「書き方」というものがあるとしたら、その願望をそのレールの上に載せるための技量が、ようやく私にも宿った、ということなのかもしれないのだが、もちろん『サウスパーク』のカートマンを初めとする、さまざまな不遜なキャラクターたちが私をここに導いてくれたのだ、と思うのである。カートマンのような徹底さと天才っぷりはないのだが、私なりに“タイトロープ”なものも書けたと思うので、今のところは満足している。

 

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