Outside

Something is better than nothing.

『ヘイル、シーザー!』(2016年)

 コーエン兄弟の『ヘイル、シーザー!』を観る。

 ジョシュ・ブローリン演じるエディ・マニックスはハリウッドのスターたちのトラブルを処理する仕事を請け負っており、昼夜を問わず駆け回って、さらには教会で禁煙が果たせなかったことを告解するくらいなのではあるのだが、テレビの台頭に伴い、対抗策として歴史大作映画「ヘイル、シーザー!」を製作中に主演俳優のジョージ・クルーニー演じるベアード・ウィットロックが共産主義者に誘拐されてしまうので、犯人が誰なのか、ひとまず10万ドルを用意せよという指示に従う。しかしながら、トラブルはこれだけに留まらず、スカーレット・ヨハンソン演じるディアナ・モランは清純派女優で売り出しているにもかかわらず妻子ある監督と不倫の末に身ごもってしまうし、西部劇に数多く出演していたアクション系の若手俳優アルデン・エーレンライク演じるボビー・ドイルは、訛りがきつすぎてレイフ・ファインズ演じるローレンス・ローレンツ監督にぱちぱちと叩かれ、扱いに困っているし、そうでなくともエディにはロッキード社への引き抜きの話も出ている。かくてさまざまな狂騒の末に、共産主義者たちは身代金をせしめてソ連の潜水艦に乗り込もうとしたときにエンゲルスという名の犬が飛びついて資金を海中に落としてしまう。

 物凄い面白かったのだけれども、うまく感想にしづらい映画である。

 果てしなく人工的な設定や空間が続いていき、ある意味でビートたけしの『みんな〜やってるか!』、北野武の『監督・ばんざい!』を思い出しもしたのだが、この二つの作品と比べると明らかにストーリーがしっかりしているので退屈することはない。

 かなり技術力の要ることをあんまりさらっと見せつけられたものだから、うまく感想にならないのである。