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『ジェーン・エア』(2011年)

ジェーン・エア [DVD]

ジェーン・エア [DVD]

 

  キャリー・ジョージ・フクナガの『ジェーン・エア』を観る。

 ミア・ワシコウスカ演じるジェーン・エアは両親を失って孤児だったが、叔母から冷遇されて施設にやられるものの、長じてからソーンフィールド邸の家庭教師として赴任し、ジュディ・デンチ演じるフェアファックス夫人(家政婦長)に手ほどきを受けていたのだが、ある日手紙を出すために外へ出たところ、マイケル・ファスベンダー演じるエドワード・フェアファックス・ロチェスターに出会う。それから二人は互いに惹かれ合うのだが、エドワードは15年前に結婚した妻のことを隠したまま、ジェーンと結婚しようとしたところで、真相が暴かれ、ショックを受けたジェーンは家を出る。ジェイミー・ベル演じる宣教師セント・ジョン・リヴァース宅に瀕死のところを助けられる。ここが映画の起点である。その後、ジェーンの元に叔父より遺産が入り、家族が欲しいと願ったジェーンは彼の義妹となるのだが、求婚され、それを断ってふたたびソーンフィールドに戻ったところ邸宅は狂気に駆られたエドワードの妻によって焼け落ち、またエドワードもまた失明し隻腕になっている。ジェーンは彼に手を差し伸べる。

 傑作である。

 物語自体はほとんどどうしようもない代物であるのだが、キャリー・ジョージ・フクナガの卓越した演出力によって傑作に仕上がっている。

 まず光線が好みで、映画の冒頭から目が離せなくなってきて、そのあとにミア・ワシコウスカの美しさに引き込まれる。衣装もまた素晴らしく、時代感もしっかりと作り込まれている。当たり前の話なんだけど、個人的にはすっかり頭から抜け落ちていたことが夜の暗さで、登場人物たちが当然に蝋燭を灯した燭台を持って歩き回っているわけで、その炎と背後の闇の青さがまた美しくもある。『トゥルー・グリット』(2010年)みたいに喪失感が前面に出ているわけではないのだけれども。

 とにかく最後まで目が離せない作品だった。