Outside

Something is better than nothing.

『ハッピーフィート』(2006年)

ハッピー フィート [DVD]

ハッピー フィート [DVD]

 

  ジョージ・ミラーの『ハッピーフィート』を観る。

 皇帝ペンギンのマンブルは、父親が卵を暖めている途中で一瞬だけ踊りたくなってしまい、卵を落としてしまったからなのか、心の歌を歌えないペンギンとして生まれついてしまう。皇帝ペンギンたちは、心の歌を歌えなければ一人前ではないのだ。マンブルは歌えはしないが、踊れるペンギンで、しかし皇帝ペンギンたちは彼をどうしても受け入れることができない。折しも魚の量が減っていることを、マンブルの踊りに結びつけられもする。マンブルは旅に出ることにするのだが、アデリーペンギンのアミーゴスに出会い、彼らとともに踊ることで心を開くのだが、ラブレイスという教祖を気取るペンギンに、幼い頃に鳥に食べられそうになったときに彼らが言っていた「エイリアン」について聞いてみると、彼もまたビールのビニールが首に引っかかっている。どうやら「エイリアン」が魚の減少に関係があると睨んだマンブルは、皇帝ペンギンたちにそれを告げるも、やはり受け入れられず、追いかけてきた幼なじみも結局は安全のために捨て、旅で出会ったペンギンたちと一緒に「エイリアン」を目指す。この「エイリアン」はつまるところ人間で、彼らの無計画な乱獲が魚の減少の原因だったのだ。しかしマンブルは漁船を追いかけていく中で人間に捕まり、水族館に捕らわれしまう。彼は絶望に打ちひしがれるのだったが、彼は踊ることで人々の関心を買い、皇帝ペンギンたちの住処に戻ることに成功するのだった。そして人間たちに、皇帝ペンギンの踊りを見せつけることで、保護プログラムが策定され、魚が戻ってくるのだった。

 ペンギンたちがひたすらに可愛い存在で、個人的にはアミーゴスの存在が実によかった。「エイリアン」こと人間たちは、とりわけ水族館で醜悪に描かれることになるのだが、ひたすらにペンギンたちにとっては異物でしかなく、またマンブルが住処に戻ってくるに当たって取りつけられた無線機がまた、醜悪で可哀想に映るのだった。

 ハッピーフィートというタイトルから、長らくひたすら楽しい作品なのだという印象があったのだが、決してそういうわけではない奥行きを持っている。