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Outside

Something is better than nothing.

繋がりの慣性あるいは陥穽

生活

 思いのほか生活を共にする、ということは絆を強めるものである。
 人は堕落する、ということを坂口安吾は「堕落論」で述べていた。これをなぜだか先月二度読んでしまったのには、紆余曲折を経て、今に至る関連があるからだろうか、いや分からない、とにかく偉大なる破壊をもってして私たちの関係性を壊すものが現れないのであるから、私たちの関係は堕ちていくだけなのだ。
 私たち、とは夫婦を指す。不思議なものだ。江戸時代には夫婦二世と言われたらしいが、これは親子一世よりもはるかに縁があるわけで、とすれば私と妻とは、この世と来世、あるいは前世で因縁があったことになる。
 恐ろしいことに、私は妻と一緒でなければ何をやっても楽しくない心に作り変えられてしまった。これは本当に恐ろしいことだ。付き合ったときは魂を救われたと形容したことがあるのだが、掬われたの間違いだったのかもしれない。いつの間にか精神は妻を欲して止まず、恋は乞いに通じ、私は惨めな気持ちになる。
 まるで犬ではないか。主人を待って、退屈する。