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Outside

Something is better than nothing.

2014年に観た映画トップ10

  • はじめに

 一度やってみたかったけど、劇場視聴タイプではないので、「2014年に観た映画」ということで、トップ10を作ってみました。とはいえ、劇場視聴は今期は引っ越して劇場が近くなった関係もあり、昨年よりも増えているのであります。いちおう、劇場視聴したものについては公開年のあとに「*」を入れておきます。

  • 2014年映画視聴総括

 昨年2013年が、映像作品の視聴数が114作品だったのに対し、今年2014年は本日時点で87作品となっています。理由の一つは、ドラマなどの連続作品を視聴していることが挙げられ、映画を対象にしているためこのトップ10には入っていないのですが、『ブレイキング・バッド』の視聴がかなり影響しています*1。また『SHERLOCK』や『名探偵コナン』も視聴したので、その分作品数の伸びはなかったのです。

   今期は、昨年末からの傑作ラッシュのソフト化の恩恵を受けて、映画視聴についてはかなり豊作だったという感があり、トップ10には挙げなかったものの、印象に残ったものとしてはエドガー・ライトの(サイモン・ペグの壊れっぷりが半端ない)『ワールズ・エンド』(2013年*)、ギレルモ・デル・トロの(まさに俺たちのロボット!な)『パシフィック・リム』(2013年)、ゴア・ヴァービンスキーの(ウイリアム・テルのアクションシーンは必見)『ローン・レンジャー』(2013年)、ピーター・バーグの(山岳地帯で決して戦闘などしたくない)『ローン・サバイバー』(2013年)、ロバート・ロドリゲスの(あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて楽しい)『マチェーテ・キルズ』(2013年)、ニコラス・ウィンディング・レフンの(新たなる変態映画)『オンリー・ゴッド』(2013年)など、実に多種多様の映画を視聴することができたのでありました。

  • トップ10

第一位『ゴーン・ガール』(2014年*)

  デヴィッド・フィンチャーの新作映画。まだ公開中の映画だけど、私は今期、この映画がもっとも心に来たものでありました。内容についてはまだ公開中ということもあり、具体的には触れませんが、フィンチャーの悪意が久々に観られた喜びと、キューブリックの『アイズ ワイド シャット』における「ファック」の向こう側にある、登場人物の一人が放つある台詞の衝撃。

 実はコメディであるというのがまたこの映画の憎いところなのですが、「凄い面白い!」とか「心温まる」というわけでは決してない、けれども凄く面白く感じてしまう、これがやはりフィンチャーなのだ、俺たちのフィンチャーなのだ!とは言わないにしても、これまでのフィンチャーのキャリアを私はよりいっそう意識してしまった傑作だと感じました。

 いやしかし、『ドラゴン・タトゥーの女』の続編ってどうなるんだろ……。

 

第二位『ジャージー・ボーイズ』(2014年*)

  クリント・イーストウッドの映画というものは不思議なものである。比較するのは少々あれなのかもしれないのですが、(私が感じている中では)最近イーストウッド北野武の映画は、歳を経るごとに、画面の中に漲る自信が凄くて、映画の充実の度合いが凄まじいことになっています。だから冒頭の辺りにある黒い車一台を取ってみても、その充実は強く感じられることになり、そしてこの黒い車は自然と私は北野武の『アウトレイジ』の、あの充実へと誘われることになるのでした……。

「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」が流れるところではきっちり泣かせてくれるところもよいわけで、これは充実した映画であります。

 

第三位『きっと、うまくいく』(2009年)

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  ラージクマール・ヒラーニという監督の作品。原題は『3 idiots』。

 今期もっとも大きな収穫といえば、本作であるといっても過言ではありません。インド映画。映画好きの間ではかなり話題になっているかと思いますが、私も今年は誰かに映画を薦める場合は、『きっと、うまくいく』しか薦めていないほどのオススメっぷり。

 本作は大学が舞台であり、そこでのドタバタなコメディが描かれることになっていますが、演じる三人の主要な俳優はみんな三十代以上で、実はおっさん映画でもあるのです。ミュージカル調に整えられ、無駄なテンポが一つもない、映画的に計算し尽くされたかのようなこの素晴らしい映画の時間が、170分以上もある上映時間をまったく感じさせないようになっております。

 ランチョーと呼ばれる、天才を巡る話となっており、冒頭は彼を探すシーンから始まります。そこから回想に至り、当時のことと現在が織り交ざりながら、やがてランチョーの秘密に至る、といったあらすじです。

 原付バイクで三人乗りしている絵面にどんどん意味が付与されていくたびに、この映画の豊かさがどんどん膨らんでいき、最後にはとてつもない感動に包まれること必至です。

 

第四位『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)

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  監督はマーティン・スコセッシ。何度もディカプリオと組んでいるため、おそらく『ディパーテッド』などはテレビで視聴された方も多いかと思います。本作はスピルバーグの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』とスコセッシの『グッドフェローズ』を足して二で割ったような、といえば分かりやすいかもしれません。前者にはディカプリオが出ています。

 内容としては、ディカプリオの大暴走といったところでしょうか。ペニー株を電話でひたすらセールスして売りまくり、含み益を増やしまくったところで次々に売買させて顧客は儲かっているような感じをしつつも利確はしていないために転がす手数料がばんばん入ってくる、的な感じだったかのように記憶しています。それで金融業界で成り上がっていき、「ウルフ」となっていく、盛りのついた雄犬ですから社内だろうがどこだろうがとりあえずファックファックファック!ということでセックスはするわ薬物はやるわで、この言い方が効果的かどうかはさておき非道徳的ではあります(もちろんこの頭についた「非」という言葉は容易く消えてしまうものです)。

 スコセッシの狂乱がディカプリオに託されて、ひたすら暴走をしている映画、といえば最も分かりやすい説明ではないかと思います。とりわけ年代物のドラッグ「レモン」を摂取した下りは、私は走馬灯のように(実は観てないけど)『タイタニック』からのディカプリオのあの顔がぐにゃぐにゃと歪んでいき、今やこんな演技までするようになってしまったのか!という驚きでいっぱいでありました。この下りは必見。

 

第五位『キャプテン・フィリップス』(2013年)

  監督はポール・グリーングラスジェイソン・ボーンシリーズでお馴染み。個人的には『ユナイテッド93』の監督。

 内容はトム・ハンクス演じる船長が船の航行中にソマリア沖で海賊に襲われて人質に取られ、そこから生還するまでの話。実話をベースにしているらしい。とてもシンプルな話ではあるのだけれども、グリーングラスの映画であるから実にてきぱきとしていて無駄がないため、観ていて飽きない。海賊役の俳優の迫力が物凄いことになっていて、追いかける海賊のイメージが頭に鮮明に焼き付いているのです。

 カメラは常に一定の距離感を登場人物たちに対して取り続けて、その結果炙り出される客観性がとても面白いことになっているのです。冒頭に示唆されてもいます。関係性の檻の中で身動きが取れなくなっている辺りが滑稽と言えば滑稽でありながら、観ているこちらも何とも言えない気分になってくるのでした。 

 

第六位『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(2013年)

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  個人的に今年一番のめっけもんはこれでしょう!

 あの『トランスフォーマー』なマイケル・ベイの監督作品でありながら、劇場公開はされずそのままビデオスルーとなってしまった本作ではありますが、これは傑作です*2

 実話らしいです。筋肉バカが欲を出して金儲けを企んで、筋肉バカを仲間に引き入れた結果、バカらしい馬鹿な結果になって、結局捕まるわけであります。冒頭のマイアミの空の下での異様なまでに青々しい様からのスローモーションはとても美しく、またこれはある意味ですっからかんな空(頭)模様を暗示しているのでしょうか。いや、まあ怒涛の勢いで筋肉が!バカが!炸裂します。

 すっげえ好み。

 

第七位『マラヴィータ』(2013年)

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  やっぱりね、リュック・ベッソンの映画は面白いんですよ。マジで。

 作中、マフィア役のロバート・デ・ニーロが『グッドフェローズ』を観て、その解説をするシーンなんて笑うしかないでしょ。

 内容としてはマフィアが、どうやら裏切りを犯したらしくて暗殺されそうになるのだが……といった具合のコメディで、恋の始まりから終わりまで、も描かれます。役者もみんな素晴らしい演技をしていて、これは職人技であると思います。

 ちょっと書くのが疲れてきた……。

 

第八位『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年*)

  監督はダグ・リーマン

 我らがトム・クルーズが出ているから必見、と書きたいけれども、桜坂洋の原作がたぶんよかったのだろうと思います。かなり面白い作品に仕上がっていて、だいたいの筋は原作通りかと思うのですが(未読だから分からないけど、小畑健の漫画版は読んでるよ)、やはり(ノルマンディーな)ビーチでの戦いの迫力は今年のアクションでは断トツなのではないのでしょうか。

 この映画、初め出てくるトム・クルーズの「顔」は、非戦闘員そのものといった顔をしているのですが、映画が進んでいくにつれて、トム・クルーズの「顔」が逞しいものに変わっていきます。この変化が自然で、「あれ、いつの間に変わった?」と思うほどです。ループものと言われるジャンルに属する映画ですが、この「顔」の変化の扱いがとても巧く、トム・クルーズの役者としての素晴らしさを感じられるものともなっています。

 

第九位『LIFE!』(2013年*)

 ベン・スティラー監督主演のこれ。

 ベン・スティラーは最初、かなり地味で踏み出せない役柄で、空想癖が凄いことになっているレベルなのだけれども、自身の携わってきた「LIFE」誌の廃刊に際して、あるネガを探さなければならなくなり、本当の世界を股にかけて探していく。

 視覚的にとても豊かな映画で、だんだんと空想癖のある閉じこもりがちの状態から、外の世界へ旅をしていくにあたっての爽快感が凄いです。この映画も、ベン・スティラーの顔がだんだんと変わっていく映画であります。さらに、微妙に背丈も変わっているような気がしてならないのです。もちろんこれは自信の表れ、なのでしょうが。

 

第十位『ラブ・アゲイン』(2011年)

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  監督はグレン・フィカーラジョン・レクア。『ラブ・アゲイン』なんていうタイトルからレンタルビデオ店で見かけてもスルーしていたのだけれども、前述にある『オンリー・ゴッド』を観終えたあとに、あの変態映画に出演している変態俳優ライアン・ゴズリングは、『ドライブ』以外に何に出演していたのだっけと思い(やはり変態映画でもある『ラースと、その彼女』にも出てるのだよね彼)、本作を観るとライアン・ゴズリングの文字が!ということで借りた次第です。これだけ公開年が最近とは言えなかったので、第十位にしましたが、割とめっけもんでした。原題は『Crazy, Stupid, Love.』。うん絶対、こっちの方がいい。

 作品としてはありがちなラブコメというわけであり、新たな知見が得られたり、映画的な発見があったりするわけでない、一見地味な作品ではあるのですが、丁寧に練られた脚本が緻密に物語を展開させていき、見事にクライマックスに至るまでの一連の流れは実に観ていて心地よいものです。

 話の内容としては離婚を言い出された中年の男(スティーヴ・カレル)が、「男を取り戻せ」とイケメンでひたすら美女をお持ち帰りし続けるライアン・ゴズリングのアドバイスに従って、だんだんと男性性を取り戻していき、ライアン・ゴズリングはイケメンなのになかなか落とせない女性が現れ、彼女のことが引っかかっていく。登場人物が何かしら恋愛状態にあり、恋愛至上主義の様相を呈しているわけでありますが、しかし、あのライアン・ゴズリングが至って普通に恋愛している様子をこちらが観ていくというのは、何というか普通で実に落ち着くわけであります。

 この映画、俳優陣も豪華で、ジュリアン・ムーアも出ているし、我らがエマ・ストーンも出ているし、ケヴィン・ベーコンも出ているしで、評価も高いわけで、一見の価値はあるかと思います。

  • めっけもん 

『追想』(1975年)……猟銃というのが確か原題だったっけか。奥さん役の人が妙にエロくもありますが、普通に観てて飽きないし面白い。古城を舞台に妻子を殺された医者によるナチスへの復讐劇。

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 ダークマン』(1990年)……サム・ライミの傑作。アメコミヒーローを低予算っぽくやりきった感が半端ない。演出の一つ一つがいちいちツボを突いてくる、さすがサム・ライミ。何気にリーアム・ニーソンが出てるし、フランシス・マクドーマンドまでいる。

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『フェイズIV 戦慄!昆虫パニック』(1974年)……世にも奇妙な蟻さん映画。蟻さんパニック。蟻さんホラー。主演:蟻。思いのほかシリアスでもあり、音楽の使い方が悪くなかった。

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  • 余談 

 やってみて思ったけど、むっちゃ面倒臭いわこれ。できるだけ新しいものを選んだけど、選ぶのが難しい。あとこれから『ベイマックス』を観に行く予定で、もしかすると順番が変わるかもしれない。

*1:ちなみに映像作品全般で言えば、今年視聴したものでは『ブレイキング・バッド』がダントツでトップに躍り出る。傑作すぎる傑作。必見。観てない人は人生損しているレベルである。

*2:ある種の。

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